TOTO(5332)-2026年3月期2Q決算
1. 概要
✨ 売上/利益: 売上3,494億円(前年3,557億円)で▲1.8%、営業利益208億円(241億円)で▲13.7%、営業利益率5.9%(▲0.9pts)。経常利益231億円、親会社中間純利益88億円。
🧳 住設全体のトーン: 日本住設は価格改定時期のずれや外部調達コスト・人財投資増で減収減益。海外住設は米州・アジア・欧州でウォシュレット/衛生陶器が伸長しつつ、中国大陸は減収赤字も改革を計画通り進捗。
🧪 新領域(セラミック): 先端半導体市況の強さで静電チャックが増勢、上期売上296億円(+37%)・営業利益129億円(+38億円)と牽引。
💱 為替/コスト: 円高と樹脂・電子部材の高騰が逆風。セグメント内の価格改定・コストリダクション効果はあるが住設の数量減を相殺しきれず。
🏦 財務/還元: 年間配当100円を維持。自己株取得200億円(531万株)を実施し取得分に既保有531万株を加え計1,062万株を消却。政策保有株の縮減を継続、TOTO版ROIC 6.1%(前年4.8%)へ改善。
2. 2026年3月期(FY2025)通期見通し
📊 修正後ガイダンス: 売上7,345億円(当初比▲190億円、前年比+1%)・営業利益490億円(▲35億円、OPM6.7%)・経常利益500億円・当期純利益290億円(当初比▲20億円)。
💴 前提: 下期為替はUSD/JPY 145、EUR/JPY 165、CNY/JPY 20。コスト削減の積み上げと投資時期見直しを織り込み。
🧩 セグメント計画: 日本住設は売上▲170億円・OP▲45億円へ下方、海外住設は売上▲20億円・OP+5億円へ微修正、新領域は売上据え置き・OP+5億円へ上方。
3. セグメント/地域トピック(上期実績と方針)
🏠 日本住設: リモデル期に新商品(例:ネオレスト新シリーズ)をテコに引合いは好調。価格改定実施月の違いで数量が一時減少、外部調達コストや投資増で採算悪化。下期は提案活動を加速しミックス改善と固定費吸収を狙う。
🗽 米州: 全チャネルでウォシュレットが大幅伸長。関税影響でOP約▲20億円の逆風を織り込みつつ、米国内新工場棟稼働・自動化(AGV/接着ロボ)で生産能力150%へ高め、供給・コストの両面を改善。
🌏 アジア: 台湾(一体形便器)とベトナム(市況回復)が牽引、ウォシュレット販売台数も前年上回り。サウジアラビアに現地法人を設立し中東展開を加速。
🇪🇺 欧州: 省施工便器×ウォシュレットのセット提案が奏功し増収・黒字維持。プランマー/代理店協業で普及を推進。
🇨🇳 中国大陸: 生産再編・人員最適化・清算進行等の構造改革を計画通りに実施。新商品の段階投入と代理店・内装業者との協業で小売は回復傾向、来期黒字化を目指す。
🧱 新領域(セラミック): 先端半導体の新規投資と交換需要が同時に拡大。下期はAD部材の一部納期ずれを見込むが、通期で増益維持の見立て。
4. リスクと成長要因
⚠️ 主要リスク: 米国関税と通商政策、住設市況(日本新築/改修のモメンタム低下)、為替・樹脂/電子部材の市況高止まり、中国リオープンの遅れ、改革費用の一時的増加。
🌟 成長ドライバー: 米州・アジア・欧州でのウォシュレット普及拡大、米国の内製・自動化によるコスト改善、静電チャックを中心とする半導体関連の構造成長、政策保有株縮減と在庫効率化によるROIC改善。
5. 総合評価
📊 総合評価: 中立
✅ 新領域の強さと海外でのウォシュレット拡大、ROIC改善と安定的な株主還元は評価材料。
✅ 米州の生産内製化・自動化や欧州の黒字定着、中国の改革進捗は来期以降の改善余地を示唆。
🚨 一方、日本住設の採算悪化と関税/コスト高が通期OPを圧迫、下期は数量・ミックス・価格の同時改善と改革の実行力が焦点。
→ TOTO(5332)は、グローバル住設の普及拡大とセラミックの構造成長を両輪に、ROICとキャッシュ創出の質を高める過程。日本住設の収益性回復と米州関税吸収の進捗が、株主価値の再評価を左右する。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。