東レ(3402)-2026年3月期2Q決算

1. 概要(2025/4–9 上期・2Q単)

連結: 上期売上1兆2,343億円(▲4.6%)事業利益679億円(▲14.2%)親会社純利益369億円(▲33.5%)。2Q単は売上6,385億円(▲2.7%)・事業利益388億円(▲8.4%)
🧵 繊維: 衣料は総じて堅調、産業もコスト改善が寄与し事業利益+6億円
🧪 機能化成品: セパレータフィルムの販売低迷、電子材料の中国需要鈍化で事業利益▲52億円
✈️ 炭素繊維複合材料: 航空・一般産業とも在庫調整や円高で事業利益▲23億円
💧 環境・エンジニアリング: 前年の中東大型案件反動・案件時期ずれで事業利益▲20億円
💵 財務: FCF+242億円(前年+654億円)D/E0.52R&D360億円設備投資671億円

2. 通期見通し・資本政策

📈 通期計画据え置き: 売上2兆6,300億円(+2.6%)事業利益1,500億円(+5.1%)純利益820億円(+5.2%)。下期は繊維・環境Eの回復、炭素繊維の増勢取り込みを前提。為替前提(10月以降)USD/JPY 145
💸 株主還元強化: 政策保有株売却1,098億円を原資に自己株1,000億円(103百万株)取得完了新たに500億円(取得期間: 2025/11/17–2026/5/31)を決定。127百万株の消却(2025/11/28)資本効率/EPSを押上げ。
🛡️ 関税影響の織込み: 米国関税による数量減・コスト増の影響は
通期事業利益で▲50億円程度
を見込むが、セグメント計画内に吸収。

3. セグメント別トピック(投資家視点)

🧶 繊維: 欧州衣料の弱含みや競争激化のなかでも戦略的プライシングコスト改善で耐性を確認。通期715億円計画。
🧫 機能化成品: 樹脂の高機能品シフトは進展する一方、セパレータ/電子材料(中国)の低迷で通期610億円(期初▲95億円)へ。欧米フィルム黒字化やプライシングで来期改善の布石。
🦾 炭素繊維: 航空は生産引上げの流れを享受、一般産業は圧力容器/風力の回復が緩慢。ZOLTEKは前倒し黒字化も需要モメンタムはなお鈍い。通期230億円
🚰 環境・エンジニアリング: RO膜中心に堅調、国内エンジ子会社はエレ装置伸長で下期回復し290億円
🩺 ライフサイエンス: 後発品浸透や原材料高で苦戦も、ダイアライザー付加価値品拡販で通期0億円まで戻す計画。

4. リスクと成長要因

⚠️ リスク: 中国需要/在庫調整の長期化米関税の不確実性セパレータ・電子材料の市況原材料・為替
🚀 成長: 戦略的プライシング×収益改善プロジェクト欧米フィルムの構造改革進展RO膜など環境ソリューションの積み上げ政策保有株縮減→自己株取得・消却による資本効率改善

5. 総合評価

📊 総合評価: やや良好
上期減益ながら通期据え置き下期増益計画大規模自己株+消却EPS/ROEの底上げが見込める。
🚨 課題は機能化成品(セパレータ/電子材料)の回復テンポ炭素繊維の需給価格規律とコスト改善の継続構造改革の実効性が評価の分岐点。

→ 東レ(3402)は、構造改革と戦略的プライシングで“利益の質”を立て直しつつ、政策保有株縮減を原資とした自己株取得・消却で資本効率を高め、来期の収益回復とEPS向上を狙う。

投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。