髙島屋(8233)-2026年2月期2Q決算分析

1. 概要(2026年2月期・上期)

連結総額営業収益4,872億円(前年比▲3.9%)営業利益237億円(▲51億円)/OPM4.9%(▲0.8pt)事業利益252億円(▲64億円)経常利益220億円(▲82億円)純利益212億円(+21億円)。6月計画比では売上+0.5%、営業益+27億円と超過
🛒 国内百貨店インバウンドの前年反動で減収・減益(営業益96億円、▲48億円)ながら、国内顧客は既存店+2%と堅調、商品利益率もわずかに改善。販管費を20億円良化(計画比)し、計画超。
🌏 インバウンド売上
438億円(前年620億円、▲29%)だが計画比+18億円
。単価マイナス幅の縮小と件数回復(8月は件数+3%)が寄与。国別では中国▲34%(シェア56%)、台湾▲22%、香港▲49%。
🏦 キャッシュフロー営業CF▲176億円(売上債権・税負担増)、投資CF+45億円(固定資産売却収入)、財務CF▲8億円。資産売却で得たキャッシュを自己株式取得に充当。

2. 2026年2月期 通期見通し(修正点)

📊 営業利益を525億円へ+25億円上方修正事業利益570億円・経常利益530億円・純利益400億円は据え置き。総額営業収益は1兆150億円(▲1.7%)計画。
🧾 国内百貨店
営業利益を+20億円上方修正
(販管費の良化が主因)。国内顧客売上は通期+3%(既存店)へローリング、インバウンドは通期840億円(上期438/下期400)に上方。商品利益率22.33%、販管費率20.2%を見込む。
💱 経常利益据え置き
円高による為替差損
を踏まえたもの。事業利益持分法投資利益の下振れ(通期22億円、▲25億円)を織り込むため据え置き。

3. セグメント別動向(上期実績/通期計画)

🏬 国内百貨店:上期総額営業収益4,018億円(▲4.9%)、営業益96億円。月次では8月に総売上+7%高額品も+5%へ持ち直し。通期は営業益230億円計画。
🛍️ 海外百貨店:シンガポールは
インフレ×円高
で減収減益、上海・サイアムは改装・景気要因で赤字、ベトナムは増収増益。通期は合計営業益88億円を見込む。
🏗️ 商業開発(国内/海外):国内は改装・光熱費増で減益も概ね計画線、海外はベトナムの着実な成長が支え。通期で商業開発計営業益119億円
💳 金融:カード取扱高・年会費増で増収増益、上期計画超過。通期営業益52億円へ上方修正。
🧱 建装・その他受注増×コスト管理で建装は増益、その他は概ね計画線。

4. 経営アップデート / 資本政策・中計進捗

🧮 「事業利益」指標を導入(営業利益+持分法投資利益+受取配当金)し、ROIC経営の実効性を高める設計。2026年度目標は営業利益575億円/ROIC5.9%(WACC約5.0%)。
🪙 コスト削減上期24億円を実行、下期34億円見込む。デジタル活用・物流効率化などで販管費比率を抑制。
💵 株主還元2025年度配当34円(中間・期末各+4円)予想、2026年度は配当性向30%目標。自己株式取得:本年150億円、来年度200億円規模を計画し、次期中計では総還元性向70%を意識
🌏 成長投資国内SCの次世代型化(玉川/京都/柏)ベトナムでの増床・ハノイ新拠点金融の事業領域拡大(法人向け融資強化)に重点。2031年に百貨店/商業開発/金融で各100億円規模の事業利益創出を目指す。

5. リスクと監視ポイント

⚠️ マクロ/為替:円高進行時の為替差損とインバウンド需要の変動、高額品のモメンタム鈍化。
🧭 執行:国内での商品力・顧客基盤強化のスピード、改装コスト削減の実効性、海外店(上海/サイアム)の収益回復。
🏗️ 投資回収:国内外SC投資・金融拡大のIRR/ROICの着地、固定資産売却と還元のバランス

6. 総合評価

📊 総合評価: やや良好
✅ 上期はインバウンド反動で減益ながら、計画超過×営業利益上方修正でボトムをコントロール。国内顧客の底堅さ販管費の良化が収益の質を支える。
🚧 一方で、為替影響と海外店の回復遅れは不確実性。H2のコスト削減進捗と国内百貨の利益回復が上振れ余地を左右。資産売却→自己株取得→配当の資本政策は投資家フレンドリーで、中計ROIC達成の実行力が焦点。

→ 髙島屋(8233)は、国内顧客の安定とコスト改革で収益を下支えしつつ、商業開発・金融を柱にROICを引き上げる局面。為替と海外のブレを抑え、H2の利益回復と高水準の株主還元で評価修復を狙う。

投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。