積水化学工業(4204)-2026年3月期2Q決算

1. 概要

売上高: 6,298億円(前年比 +7億円)で上期過去最高を更新。営業利益: 454億円(▲33億円)、経常利益: 490億円(+8億円)、親会社中間純利益: 317億円(▲112億円)。
🏠 住宅: 棟単価アップとリフォーム伸長で増収増益(売上2,586億円・営業利益163億円)。
🧱 高機能プラスチックス: エレクトロニクス堅調もモビリティの一部停滞・一時費用で増収減益(売上2,235億円・利益284億円)。
🚰 環境・ライフライン: 市況低迷と猛暑による施工停滞で減収減益(売上1,121億円・利益81億円)。
🧪 メディカル: 海外検査需要の弱さで減収減益(売上443億円・利益45億円)。
💵 CF/資本政策: 上期フリーCF111億円。中間配当40円・年間80円(+1円)計画に加え、自己株買い枠1,000万株/300億円を追加(年間合計1,400万株)。

2. 2026年3月期(FY2025)通期見通し

📊 通期修正計画: 売上高1兆3,232億円(+254億円)、営業利益1,100億円(+20億円)、経常利益1,120億円(+10億円)、当期純利益720億円(▲99億円)。営業・売上はいずれも最高値更新計画を維持。
💴 配当/還元: 年間80円(中間40円/期末40円、16期連続増配)を据え置き。自己株買いは年間合計1,400万株まで拡大。ROE見通し9.0%。
💱 前提: 下期為替前提はUSD/JPY152・EUR/JPY159。ドル円1円の変動で営業利益+約5億円/年の感応度。

3. セグメント別動向(上期実績/下期修正計画)

🧠 高機能プラスチックス: 上期売上2,235億円・利益284億円。N-HPP(HUD等)拡販と売値/原料の良化で下期は売上2,404億円・利益334億円へ増収増益計画、下期最高益を目指す。
🏠 住宅: 上期は棟数減でも構成良化と固定費抑制で利益上振れ。下期は売上2,738億円・利益207億円計画、棟単価引上げとリフォーム外販強化で大幅増益を見込む。
🌿 環境・ライフライン: 上期は減益も、下期は重点拡大製品(耐火・管路更生等)と海外伸長で売上1,351億円・利益167億円と増収増益、年度で4期連続最高益を狙う。
🧪 メディカル: 上期は海外検査の落ち込みが響く。下期は医療(CDMO/創薬支援等)の受注増と固定費抑制で売上503億円・利益69億円へ回復を計画。

4. 戦略トピック(投資家視点)

🔋 ペロブスカイト太陽電池: シャープ堺工場取得を完了(25/10)。商用販売は26/3開始予定、100MW第1ラインは27/4稼働予定。“発電効率20%・耐久20年・コスト20円/kWh”の“Triple 20”を掲げ、28年度フル稼働で黒字化、30年度1GW体制で売上1,500〜2,000億円・営業利益率10%を目指す中計アセット。中長期の新規成長ドライバーとして注目。
🧩 ポートフォリオ質的強化: 住宅は高価格帯「ELVIA」で単価向上、環境LLは重点拡大製品の比率を引き上げ、HPPはHUD/放熱/半導体材へ資源配分。全社でスプレッド確保と固定費抑制を徹底。

5. リスクと注目点

⚠️ リスク: モビリティ(EV)および建築・インフラの市況鈍化長期化、海外検査需要の弱含み継続、原材料/為替の変動、施工現場の人手制約による遅延、プロジェクト一時費用の再発。
🌟 注目点: 下期は数量が弱くても売値・原料良化と固定費コントロールで利益積み上げの余地。HPPのHUD継続伸長、環境LLの管路更生/耐火材の拡販、住宅のリフォーム外販強化が鍵。還元強化(増配+自己株買い拡大)で1株価値は下支え。

6. 総合評価

📊 総合評価: やや良好
上期は市況逆風で減益も、通期は最高売上・営業益の更新計画を維持。住宅の構成良化、HPP/環境LLのスプレッド確保で下期の利益回復にメド
増配継続と大型自己株買い枠で資本効率志向を明確化。中長期はペロブスカイトの事業化が非連続成長のオプション
🚨 一方、数量サイクルの回復が遅れると上振れ余地は限定的。下期の実行(価格維持・固定費抑制・重点領域の受注化)が株価モメンタムの分岐点

→ 積水化学工業(4204)は、短期は価格と費用の管理で耐え、中期はHPP/環境LL/住宅リフォームの質的成長、長期はペロブスカイト事業での非連続を狙う構図。還元拡大と最高益計画の実行で、収益性の底上げと株主価値向上が期待される。

投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。