参天製薬(4536)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/4–9 上期)
✨ 連結は売上1,379億円(▲5.8%)、売上総利益772億円(56%)、コア営業利益223億円(▲25.0%、マージン16%)、営業利益179億円(▲25.0%)、親会社帰属中間利益139億円(▲25.7%)。今期は下期偏重の想定どおりの進捗。
🧪 製品/需給は日本でアレジオン系の前期末流通在庫過多と市場拡大再算定による主力薬価引下げが響き、中国はヒアレイン/クラビット等の在庫調整で減収。一方EMEA/アジアは緑内障/ドライアイ中心に増収でカバー。
🧴 供給アップデートとしてジクアスLX(23年度売上133億円)は12月上旬に出荷再開予定。アレジオン眼瞼クリームはQ4ピークへ浸透加速を計画。
🧬 パイプライン/導入では、近視進行抑制薬(日本上市済/欧州上市)が計画どおり、緑内障はタプコム(中国)/セタネオ(日本)を上市。後眼部ではRC28-E(抗VEGF/FGFの二重標的)を中国DMEで申請済、wAMDでP3進行。さらに韓国でベオビュ/ルセンティスの独占販売を取得。
2. 2026年3月期 通期見通し・株主還元
📈 通期計画据え置き(5/13開示から変更なし)で、売上2,940億円(▲2.0%)、コア営業利益540億円(▲9.1%)、営業利益440億円(▲6.1%)、EPS103円・ROE12%。上期の在庫/薬価要因は下期に平準化、製品ミックス改善で原価率を引き下げる前提。
💸 株主還元は年間配当38円(中間19・期末19、連続増配)を継続し、自己株319億円(1,980万株)を5/22–11/5に取得完了。22年度以降で発行済株式数を約20%圧縮し、総還元性向の改善を明確化。
💱 為替前提/感応度はUSD/JPY 145、EUR/JPY 160、CNY/JPY 20.5。主要通貨合計で1%円安は売上+約12億円/コアOP+約1億円寄与。
3. 事業トピック(投資家視点)
🟦 日本は薬価引下げと在庫調整で売上698億円(▲12%)・貢献利益212億円(率30%台前半)。ジクアスLX出荷再開とアレジオン眼瞼クリームの浸透でQ4回復を狙う。
🟥 中国は売上146億円(▲10.5%、為替除外▲6.1%)。ヒアレイン/クラビットが在庫調整の峠越えつつあり回復基調。タプコム上市で緑内障の厚みを増す。
🟩 アジアは売上149億円(+6.0%、為替除外+4.5%)、EMEAは377億円(+6.0%)。Ikervis/コソプト/タプロス等のストック性が効き、新薬投入で価格ディシプリンを確保。
🧲 緑内障ポートフォリオは配合剤/新機序の拡張で連結売上の約1/4を占める体制へ。Rho阻害(Rhopressa/Rocklatan)の日本申請/P3も進捗。
🧠 後眼部の非連続性としてRC28-Eの中国DME申請とwAMD P3が新領域の柱。韓国の抗VEGF2品の流通権取得で短期の売上底上げも期待。
4. リスクと成長要因
⚠️ 主要リスクは薬価制度(市場拡大再算定等)、中国/日本の在庫調整の長期化、競合後発品・AG、承認/上市時期のずれ、為替。
🚀 成長要因はジクアスLX供給正常化、緑内障の新製品拡充、後眼部の新規参入(RC28-E)、およびEMEA/アジアの数量ドライブ。ミックス改善×販管費のレジリエント運営でコアOP率の再改善余地。
5. 総合評価
📊 総合評価: 中立
✅ 在庫/薬価の逆風を織り込んだ通期据え置き、ジクアスLX出荷再開、緑内障/後眼部の拡張で下期巻き返しの形は整った。自己株取得×増配で資本政策の一貫性も評価。
🚨 ただし日本・中国の在庫/薬価要因の収束速度とRC28-E等の進捗は不確実性が残る。Q4の需要取り込みと通期コアOP率の再上昇を確認できるかが再評価の分岐点。
→ 参天製薬(4536)は、供給正常化と新製品投入で数量の底上げを図りつつ、後眼部参入で成長軌道を再設計する局面。下期の回復実現と資本政策の継続で、中期的な株主価値の積み上げが期待される。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。