レゾナック・ホールディングス(4004)-2025年12月期3Q決算
1. 概要(2025/1–9 3Q累計・7–9月)
✨ 3Q累計は売上9,863億円(▲4%)・コア営業利益728億円(+6%)・EBITDAマージン14.6%(+0.8pt)。半導体・電子材料が数量増で大幅増益、ケミカル(特にグラファイト)の逆風を吸収した。非経常の減損・構造対策計上でIFRS営業利益は抑制も、実力ベースは増益。
🚀 7–9月単体はコア営業利益382億円・EBITDAマージン18.0%まで改善。半導体・電子材料のコアOPが四半期過去最高、イノベーション材料もマージン上昇。クラサスケミカルは在庫受払差が改善し黒字転換。
🏦 財務はネットD/E0.98倍、持分比率31.2%。有利子負債の圧縮と運転資本の縮小を進めつつ、**半導体・電子材料への設備投資(1–9月536億円)**を優先配分。
2. 2025年通期見通し(据え置き)
📈 売上1兆4,220億円・コア営業利益980億円・EBITDAマージン13.6%を据え置き。セグメントでは半導体・電子材料のコアOP990億円を維持、ケミカルは▲50億円の見立て。非経常▲490億円を織り込むため、IFRSベースはボラティル。
🧭 マクロ前提はUSD/JPY 148近辺、EUR/JPY 166–170、ナフサ67千円/KLレンジ。数量回復×価格規律と歩留・コスト改善で、下期も半導体主導のマージン改善を継続する計画。
3. セグメント別トピック(投資家視点)
🧪 半導体・電子材料: 売上3,657億円(+11%)・コアOP740億円(+40%)・EBITDAマージン29.1%。後工程材料(封止材・CCL・感光材)がAI/サーバ向けで数量増、HDDメディアはデータセンター需要回復で伸長。前工程はNAND鈍化や装置事業譲渡影響で横ばい圏、SiCエピはEV鈍化で横ばい。3QはコアOP315億円と記録更新。
🚗 モビリティ: 事業再編の影響と一部顧客減で売上1,321億円(▲12%)・コアOP20億円(▲48%)。収益性改善に注力し、10%前後のEBITDAマージンを維持。
🧯 ケミカル: 売上1,259億円(▲17%)・コアOP▲74億円。化学品は数量・価格見直しで増益だが、グラファイト(黒鉛電極)の市況低迷と在庫評価損で赤字拡大。7–9月は8億円の黒字と持ち直しの兆しあり。
🛢️ クラサスケミカル(石化): 売上2,228億円(▲8%)・コアOP33億円(▲35%)。ナフサ安で価格は落ちるが、3Qに在庫受払差が改善(OP41億円)。
🧩 イノベーション材料: 売上679億円(▲5%)・コアOP81億円(▲8%)。自動車関連の弱さを、高付加価値材とコスト改善で吸収し20%のEBITDAマージンまで改善。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスクは、黒鉛電極の市況/在庫評価、EV需要鈍化がSiCに与える影響、半導体メモリの回復テンポ、為替・ナフサ、非経常費用の追加計上。IFRSの見た目はブレやすい点に留意。
🚀 成長は、AI/データセンター向け後工程材料とHDDメディアの構造成長、JOINT3等の先端PKGエコシステム参画、石化の在庫差改善と構造対策の進展、選択と集中による資本効率改善。
5. 総合評価
📊 総合評価: やや良好
✅ 半導体・電子材料の四半期過去最高益と3QのEBITDAマージン18%は実力改善を示す。通期据え置きは保守的で、後工程/HDDメディアの数量増が牽引。
🚨 一方でグラファイトの市況弱含みとIFRS非経常の振れが重石。**改善モメンタム(ケミカル・石化の3Q黒字化)**が継続するかを見極めたい。
→ レゾナック・ホールディングス(4004)は、半導体主導で“利益の質”を引き上げつつ、ケミカルの構造対策と資本配分の最適化でマージンとROICの底上げを図る局面にある。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。