NTT(9432)-2026年3月期2Q決算

1. 概要(2025/4–9 2Q累計)

営業収益 6兆7,727億円(前年比 +2.8%); EBITDA 1兆7,405億円(+3.3%); 営業利益 9,450億円(+2.7%); 当期利益 5,957億円(+7.4%)。過去最高の売上を更新し、利益も堅調に増加。
🏢 セグメントは総合ICT・地域通信・グローバル・その他の各事業で収益を積み上げ、グループ横断の案件獲得と運用効率化が寄与。
💰 株主還元中間配当2.65円年間5.3円の計画(15期連続増配の見込み)。自己株取得枠2,000億円は10月末時点826億円実行と着実に進捗。
🏦 財務は大型出資等を見据えた調達で有利子負債が増加する一方、連結の利益剰余・手元流動性は厚く、投資余力を維持。営業CFはEBITDA増で底堅く、年後半にかけてFCFの回復を志向。

2. トピックス(成長アジェンダ)

🚗 NTTモビリティ設立: 2025年12月に自動運転事業を統括する新会社を設立。全国実証で蓄積した知見を結集し、遠隔監視や車両・通信を束ねて地域交通の課題を解決。
🎌 大阪・関西万博の知見を事業化: 来場約39万人のパビリオン運営と多様なユースケースで得た学習をIOWNの商用化へ横展開。
IOWNの加速: APNは大規模スポーツ中継等で実装、海外での商用提供を開始。光コンピューティングはパートナー連携の光スイッチ商用化を経て、2028年に独自光チップレットの商用化を目指す。
🧠 データ・AI基盤: 産業特化エージェントAI導入、企業向けLITRON CORE提供、国産LLMtsuzumi 2提供開始など、アプリから基盤まで一気通貫で拡大。
📡 ドコモ/ネットワーク: ネットワーク組込型セキュリティやIoT新サービス投入、「NBA docomo」開始などCX強化を継続。固定電話は光・モバイルへの移行方針を提示。

3. 資本政策・財務(2Q時点)

💸 配当方針は増配継続で株主還元の予見性を維持。自己株買い2,000億円は翌年3月末まで実施期間を設定、需給の安定と資本効率の改善を両立。
🏗️ 投資はネットワーク・データセンター・都市開発を計画的に実行し、IOWN/光電融合など将来の収益アセットへ厚く配分。
📊 バランスシートは自己株取得や投資で構成が変化する一方、連結の収益基盤拡大で財務の持続可能性を確保。

4. リスクと成長要因

⚠️ リスク: 規制・料金政策の変動、海外事業の運営リスク、金利・為替、光電融合の量産スケール到達までの技術・サプライチェーンの不確実性、投資回収のタイミング。
🚀 成長要因: IOWNの商用ユースケース拡大APNの海外展開光コンピューティングの実装(光スイッチ→光チップレット)データ・AI/セキュリティのクロスセル、およびネットワーク利活用型の新サービス

5. 総合評価

📊 総合評価: 良好
売上過去最高・増益基調増配継続×自己株買いの還元一貫性、IOWNを軸にした成長アセットの積み上げが評価ポイント。
🚨 一方、負債の積み増し大型投資の回収確度規制・競争環境は注視。IOWNの商用成果の可視化グローバル/データ事業の収益伸長が次の再評価ドライバー。

→ NTT(9432)は、収益基盤の厚みとIOWNの商用展開で“通信×データ×光電融合”の成長シナリオを具体化。増配・自己株の規律を保ちながら、中長期の資本効率改善と新領域の収益化で株主価値向上を目指す。

投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。