任天堂(7974)-2026年3月期2Q決算

1. 概要(2025/4–9 上期)

売上1兆995億円(+110%)・営業利益1,451億円(+19%)・経常利益2,360億円(+61%)・純利益1,989億円(+83%)。ハード急伸でゲーム専用機売上1兆661億円(+120%)、IP関連等333億円(▲12%)。
🧩 ミックス/採算: ハード売上比率73.2%へ上昇(前年41.4%)。粗利3,984億円(+25%)だが粗利率36.2%(▲24.6pts)、OPM13.2%(▲10.0pts)。要因はSwitch2の立ち上がりでハード構成増・同機の利益率がSwitch比で低位。
🕹️ 販売動向: Nintendo Switch 2は発売4か月で累計1,000万台超。2Q単独でも需要は堅調。Switch2ソフトは2,062万本(同梱約810万本含む)。既存Switchソフトは6,156万本(▲12%)ながら定番が底堅い。
🌍 地域: 売上比率は米州40.8%・欧州23.9%・日本20.5%・その他14.8%、海外比率79.5%。為替期中平均は**$=145.98円、€=168.17円**。
💻 デジタル: デジタル売上1,555億円(▲3%)、デジタル比率54.5%(▲1.8pts)。同梱ソフトはハード売上に計上され、デジタル売上には含まれない点に留意。
🧾 費用: 販管費2,532億円(+29%)で広告宣伝646億円(+80%)、R&D824億円(+20%)。売上対比は23.0%(▲14.5pts)とスケール効果が発現。

2. 通期見通し(修正)

📈 ガイダンス: 売上2兆2,500億円(+18%上方)・営業利益3,700億円(+16%上方)・経常4,600億円純利益3,500億円へ増額。前提為替は**$=140円、€=160円**、米関税影響は25/9末時点の税率を織り込み。
💿 販売計画: Switch2ハード1,900万台・ソフト4,800万本へ上方、Switchハード400万台・ソフト1億2,500万本へ見直し。
💸 株主還元: 年間配当181円(+52円)に増額。配当方針の変更を反映。

3. 事業トピック(投資家視点)

🎯 プラットフォーム移行の質: Switch2同梱・同時発売の牽引で立ち上がりは良好。短期はハード構成↑→粗利率↓の力学だが、同梱比率低下×自社/他社タイトルの継続ヒットソフト比率回復→OPM改善のシナリオ。
🏁 ファーストパーティIP: 『マリオカート ワールド』『ドンキーコング バナンザ』などが初速を牽引。年末〜来期にかけてゼルダ/メトロイド/スプラ/FE/ポケモン等の投入計画が継続し、装着率の逓増が見込まれる。
🛒 デジタル・サービス: 同梱効果で短期のデジタル比率はやや希薄化も、DLC/NSO/追加パックの継続課金でARPUの底上げ余地。アップグレードパス設計は世代橋渡しの収益装置。
🌐 地域配分: 米州・欧州が牽引、為替の感応度と米関税の見積りを通期計画に保守的に織り込み。供給計画と販促配分の最適化が鍵。

4. リスクと成長要因

⚠️ 主要リスク: ①半導体・物流制約や競合新機種による需給変動、②米関税・為替の変動、③同梱比率高止まりによる粗利率/OPMの回復遅延、④サード/自社の大型タイトルの期ズレ。
🚀 成長ドライバー: ①Switch2の装着率上昇自社大型IPの継続投入、②DLC×NSOの粘着度強化、③海外比率80%前後のスケール活用、④旧世代Switchのロングテールでユーザーベースを広く維持。

5. 総合評価

📊 総合評価: 良好
売上+110%・OP+19%の立ち上がりでプラットフォーム移行の成功確度は高い。粗利率は一時的に低下も、ソフト比率回復×デジタル課金OPMリビルド余地が大きい。
🚨 短期はハード偏重・為替/関税の不確実性が重石。供給安定・タイムリーなタイトル投入・同梱比率の適正化がガイダンス達成と上振れの分岐点。

→ 任天堂(7974)は、Switch2の強い初動をテコにユーザーベースを再拡張し、ソフト/デジタルで収益性を取り戻す局面。配当増額で株主還元も強化され、移行の“量から質”への転換速度が今後の評価を左右する。

投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。