日産自動車(7201)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/4–9 上期)
✨ 連結は売上5兆5,787億円・営業損失277億円(率▲0.5%)・親会社当期損失2,219億円。為替の逆風、関税影響、減損計上が重なり赤字着地。販売台数は中国▲17.6%・日本▲16.5%と減速、北米+2.0%が下支え。営業CFは▲4,459億円、自動車事業フリーCFは▲5,928億円。
💰 財務流動性は手元資金2.2兆円+未使用コミットメント等1.4兆円で計3.6兆円。自動車事業ネットキャッシュは9,909億円とクッションを維持。
🧭 事業進捗は、再建施策「Re:Nissan」の固定費/変動費の削減が上期800億円超進捗。商品面では**N7(中国)・ルークス(日本)・キックス(米)・キャシュカイe-POWER(欧)**などを投入し、下期の台数回復を見込む。
2. 2026年3月期 通期見通し・資本政策
📉 通期計画は売上11.7兆円、営業損失2,750億円(率▲2.4%)へ下方。関税影響を除けば損益分岐点近辺と想定。為替前提はUSD/JPY 146、EUR/JPY 168。当期純利益は未定。
🏦 資金調達/負債は、7月の米ドル/ユーロ建て社債等で長期資金を確保。期末自動車事業ネットキャッシュ1兆円を目標とし、下期は自動車事業フリーCFプラスを計画。
🛠️ コスト構造は26年度に固定費・変動費合計5,000億円削減を目標(24年度比、為替140円前提)。生産拠点の統合・再編や設計効率化(部品種類60%超削減の次期ローグ等)で損益分岐点を引き下げる。
3. 事業トピック(投資家視点)
🚘 商品/市場は北米の伸長が持続、中国はN7などで回復の兆しが出る一方で在庫/価格競争の負荷が残存。日本は軽・登録車とも需要軟調で厳しい。
🏭 モノづくり/原価は、購買・物流・生産効率化で下期改善余地。規制対応/商品性向上コストや米国環境規制(クレジット)の影響管理が損益の鍵。
💳 販売金融は多様な資金調達で流動性安定、N.A.のクレジットロス上昇は業界並み。中国系金融のリスクは一社フリート要因が大きく、モニタリング継続。
4. リスクとカタリスト
⚠️ リスクは相互関税の長期化、中国/日本の販売回復遅延、為替の円高進行、追加減損/一過性費用、規制対応コスト。
🚀 カタリストは下期の台数回復の顕在化、価格ディシプリン復帰、コスト削減の確度向上、商品力強化(e-POWER等電動化)、およびFCF黒字転換の実績。
5. 総合評価
📊 総合評価: 厳しい
✅ 十分な流動性とネットキャッシュ、コスト削減の前倒し進捗、北米の堅調さは下支え要因。
🚨 しかし通期営業赤字2,750億円見込み、関税・規制対応・減損が重く、中国/日本の回復不確実性も高い。下期のFCF黒字化達成とコスト5,000億円計画の着実な実行が再評価の前提条件。
→ 日産自動車(7201)は、関税と規制コストを吸収しきれず厳しい局面にあるが、流動性を確保しつつRe:Nissanの構造改革と商品投入で“損益分岐点引き下げ×FCF黒字化”を実証できるかが、資本市場の信認回復の鍵となる。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。