日産自動車(7201)-2026年3月期1Q決算
1. 概要
✨ 1Qは売上高2兆7,069億円(前年2兆9,984億円)と減収、営業損失791億円でマージンは▲2.9%に低下、為替影響は▲397億円と逆風が継続。
📉 小売販売台数は前年同期比▲10.1%(中国▲27.5%、日本▲11.1%、北米▲2.4%など)で、生産台数も▲7.5%と縮小、価格・販促の是正効果は限定的。
💵 自動車事業フリーキャッシュフローは▲3,905億円と大幅流出だが、手元資金2.1兆円・総流動性3.1兆円・未使用コミットメント1.8兆円で耐性を確保。
🛠 Re:Nissanのコスト改革が始動し、1Qだけで販売・一般管理費などで300億円超の削減を実行、固定費/変動費の大型プログラムを同時並行で進捗。
2. 通期/2Q見通しと前提
🧭 通期の小売販売・関税影響前の営業利益見通しは据え置き、米国関税影響を織り込みつつも数量・ミックス改善での回復を想定。
📆 2Qの営業損益は約▲1,000億円の赤字見通し、FCFは▲3,500億円を計画し、下期にかけて運転資本を改善して黒字化転換を目指す。
💱 為替はドル/円145などの前提で、通期も為替感応度の厳格な管理を継続、価格改定と販促最適化で粗利劣化の抑制に注力。
3. 再建プログラム進捗(投資家視点)
🏭 固定費はグローバル7拠点の統合・縮小を決定(日本・欧州・米州・アジアでの生産再編、早期退職導入等)し、26年度までに2,500億円削減を狙う。
🧩 変動費はTotal delivered Costトランスフォーメーションで4,000件のアイデアを創出、1,600件が実行段階へ移行、部品共通化・設計簡素化・物流最適化を加速。
🚘 商品・市場戦略は北米・日本のコアに集中、アジア/新興は選択と集中で投入モデルを絞り、価格規律を維持しながらラインナップの鮮度を高める。
🤝 パートナーシップは連結・資本政策の見直しと金融子会社の資金調達多様化で、景気循環に耐える収益/CFプロファイルへ転換。
4. 財務・資金調達
🏦 2025年7月に普通社債・転換社債で計8,600億円を調達し、満期の前倒し対応と年限分散を実施、26年度までの自動車事業償還資金を概ね手当て済み。
📊 ネットキャッシュ(自動車事業)は1.13兆円まで減少も、証券化・CP・社債・借入を組み合わせた多層の流動性バックストップを維持。
🧮 運転資本は在庫・売掛の増で悪化、下期は生産と販売の同期化、販社在庫の圧縮でキャッシュ創出へ反転させる計画。
5. リスクと成長要因
⚠️ リスクは米国関税の長期化と価格弾力性の低下、為替の逆風、中国需要の減速、固定費削減の実行リスク、品質/規制対応コストの上振れ。
🌟 成長要因は北米での価格規律回復とミックス改善、新型SUV/EV群の段階投入、アフターセールス・金融の収益安定化、設計/調達改革によるスプレッド改善。
6. 総合評価
📊 総合評価: 厳しい
💬 1Qは数量・為替・関税の同時逆風で減収赤字・大幅なFCF流出と厳しい内容、足元の2Qも赤字見通しで短期の収益ボラティリティは高い。
💬 一方で、5,000億円削減(固定費/変動費各2,500億円)という明確なKPIと工場再編・ガバナンス強化・社債調達での資金繰り安定化は評価でき、下期のFCF黒字化と2026年度の黒字転換が検証ポイントとなる。
→ 日産自動車(7201)は、Re:Nissanの構造改革を軸にコストと資本効率の再設計を進める局面。短期の赤字・FCF流出を受け入れつつ、下期の運転資本改善と価格規律回復、固定費/変動費の定量削減進捗が株主価値の回復に直結する。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。