日本郵船(9101)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/4–9 上期)
✨ 連結: 売上1兆1,821億円、経常利益1,268億円、親会社純利益1,022億円。期中平均為替146.18円/$、燃料$568/MT。
📦 定期船(含むONE): 供給増と短期運賃下落で減益。1Qは関税前倒し出荷で一時持ち直しも、2Q末にかけ再下落。
🚗 自動車: 輸送台数は前年並だが、円高収入減と荷役費等コスト上昇で減益。
⚓ ドライバルク: 2Qは市況上昇も、上期通して前年水準を下回り減益。
🛢️ エネルギー: VLCC/VLGC市況上昇とLNGの中長期安定、FPSO新規稼働の一過性利益で増益。
💸 株主還元/自己株: 中間配当115円実施、自己株は上限1,500億円で取得進行(10/31時点で累計約803億円/1,547.9万株)。
2. 2026年3月期 通期見通し・資本政策
📉 会社計画(下方修正): 売上2兆3,500億円(据置)、経常1,900億円(▲500億円)、純利益2,100億円(▲300億円)。関税・新造船供給増・市況下落を織り込み。
💰 配当: 年間225円(期末110円〔普通85+記念25〕、下限200円を明確化)。配当性向目安40%を堅持。
🔁 自己株買い: 1,500億円上限で継続、原則消却方針。資本効率(EPS/ROE)の毀損回避を意識。
🧮 感応度(下期): 為替1円の円安で+約7.9億円、燃料$10/MT下落で+約3.5億円の経常押上げ。
3. セグメント別の着眼点(上期実績/通期見通し)
📦 定期船: 需要は底堅いが運賃水準は前年を大幅に下回る。紅海情勢による喜望峰迂回で船腹の一部は吸収される一方、新造船の継続投入が重し。通期経常450億円(▲250億円)へ下方。
🚚 物流: 海上運賃の想定超下落・人件費上昇・顧客の取扱量減で通期120億円(▲50億円)。
🚗 自動車: 入港料新設等の費用と円高で採算悪化、通期880億円(▲120億円)。輸送台数は通期440万台前後(横ばい〜微減)。
⚓ ドライバルク: 市況はレンジ内推移、通期50億円(▲50億円)へ。
🛢️ エネルギー: VLCC/VLGCの堅調とLNGの安定収益で通期480億円(前回横ばい)。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスク: 関税・通商政策の不確実性、新造船供給増による運賃下押し、地政学(紅海/中東)、円高/燃料、港湾混雑・SC乱れ。
🚀 成長/防波堤: LNG船の中長期契約(関与隻数を2028年度130隻体制へ)とVLGC/VLCCの追い風、FPSO寄与、ロジスティクスM&Aで稼ぐ力を増強。下限配当200円+自己株1,500億円で株主還元の予見性も確保。
5. 総合評価
📊 総合評価: 中立
✅ エネルギーの堅調とLNG長期が定期船・物流・自動車の逆風を部分吸収し、配当下限明確化×自己株取得で資本政策の信頼性は維持。
🚨 ただし定期船の運賃環境悪化と新造船供給増、通商不確実性が通期下方の主因で、短期の上値は限定的。喜望峰迂回の長期化/解消の帰趨と追加還元の機動運用が評価の分岐。
→ 日本郵船(9101)は、エネルギー安定収益とLNG投資の厚みでボラティリティをいなしつつ、定期船・物流・自動車の外部逆風を資本政策で緩衝。業績回復には供給調整と通商正常化が鍵で、還元の継続・強化が株主価値の底上げに寄与する。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。