三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/4–9 中間期)
✨ 連結は業務純益1兆2,870億円(調整後前年比**+613億円**)・親会社株主純利益1兆2,929億円(+568億円)で中間期の最高益を3年連続更新。円金利上昇を捉えた資金利益、法人/WM・GCIBの手数料増、**持分法投資損益の増加(MSなど)**が牽引。
📈 顧客部門の営業純益は増益、市場部門はFIの流動性低下で減益も、トレジャリーの資金収益が補完。与信関係費用▲763億円と前年より軽く、NPL比率1.01%で資産健全性は安定。
🛡️ 自己資本はCET1(含み益除き)10.5%(レンジ9.5–10.5%内)、レバレッジ比率5.45%。TLACも規制水準を上回り余力十分。
2. 2026年3月期 通期見通し・株主還元(修正)
🚀 通期目標を上方修正し、業務純益2兆2,500億円(+500億)、親会社株主純利益2.1兆円(+1,000億)へ。想定は本邦政策金利0.5%程度、FF4%程度、ドル円140円台半ば。
💸 年間配当は74円(+10円)に増配、下期2,500億円の自己株取得を追加し通期5,000億円(過去最大)。総還元性向は約64%見込みでROE 12%目標への道筋を明確化。
3. 事業トピック(投資家視点)
🏪 リテール×デジタルは新ブランド「エムット」浸透で新規口座・カード発行が加速、CFや資産運用収益も伸長。eスマート証券 完全子会社化でグループ連携を強化。
🏢 法人・WM/GCIBはイベント案件や不動産、PF/買収ファイナンスの獲得で手数料収益が拡大、一体運営のROEが前倒しで目標達成見込み。アジアはKS/BDIの構造改革と選択的成長でROE改善。
🤖 AI変革はOpenAIとの戦略連携を開始し、ChatGPT Enterpriseを全行員約3.5万人に展開。AI業務実装300件規模を目標に効率・収益機会の創出を狙う。
4. リスクと注目点
⚠️ リスクは金利・為替の変動、市場流動性低下によるトレーディング収益のボラ、海外与信の局地的悪化、金利最終化に伴うRWA増、政策保有株の売却タイミング。
🔎 注目は国内金利正常化の進み方と預貸金スプレッドの定着、手数料領域のスケール、AI実装の実収益化、自己株消却の頻度。政策保有株売却(中計累計5,390億円の見通し)は資本効率の押上げに効く。
5. 総合評価
📊 総合評価: 良好
✅ 金利・手数料の二軸で最高益更新、通期上方修正×大型還元でEPS/ROEの上振れ余地が広がる。CET1 10.5%と与信の安定は積極的な資本政策の下支え。
🚨 短期は市場部門の収益変動とRWAの上昇圧力を注視。オーガニック成長(国内預貸×手数料)+インオーガニック(AM/IS等)の進捗とAI活用の可視的KPIが評価ドライバー。
→ 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は、金利正常化と手数料成長の追い風に加えて、積極的な資本政策とAI変革を梃子に“利益の質×資本効率”を同時に高め、株主価値の逓増を狙う。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。