三菱地所(8802)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/4–9 2Q累計)
✨ 連結: 営業収益は前年を大幅に上回り、営業利益1,075億円・純利益580億円と増益。上期は新規オフィスのリーシング・既存物件の増額改定、住宅引渡しの進捗、商業・ホテルの稼働改善が牽引。キャピタルゲイン計上は下期偏重の予定。
🏦 財務: 9月末の有利子負債3.47兆円、固定金利比率約81%・長期比率約93%・平均残存年限約6.3年と耐性を確保。営業CFはプラス、投資は国内外の開発・エクイティ出資が順調に進捗。
🏛️ ガバナンス/還元: 累進配当+3円の方針に沿い年間配当46円へ増配。自己株1,000億円を取得済みで11月に全額償却予定。政策保有株は27年度までに50%以上削減を定量目標化。
2. 2026年3月期 通期見通し(据え置き)
📈 会社計画: 営業利益3,250億円(過去最高)、純利益1,950億円(5期連続最高)を見込む。ROEは8%程度とし、長計の10%に向けて着実に伸長。
💸 株主還元: 累進配当の継続に加え、自己株はベース500億円/年を目安に、市況・CFを踏まえ機動的に追加検討。削減した政策保有株の資金は自己株などの株主還元へ再配分。
3. セグメント着眼点(投資家視点)
🏙️ コマーシャル不動産: オフィス・商業・ホテルの稼働改善が継続。高水準の物件売却益は下期に計上が集中する見込み。物流は「ロジクロス」進捗で底堅い。
🏢 丸の内事業: リーシングと賃料改定が寄与、再開発に伴う一時的な閉館影響はあるが面開発×エリアマネジメントで利益最大化を図る。
🏡 住宅: 都市大型の引渡し進捗と価格維持で増益。ランドバンク約1.7万戸・粗利率約29%の質を維持し、来期以降の供給確度も高い。
🌍 海外: 欧米中心の賃貸利益に、売却益を織り交ぜるハイブリッドモデルで利益を積み上げ。米サンベルトの物流・賃貸住宅を継続強化。
📈 投資マネジメント: AuM拡大によるベースフィーが伸長。時価連動のインセンティブはブレ要因だが、中長期は安定フィー比率の上昇が評価軸。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスク: 金利上昇・建設コスト高止まり・海外不動産サイクル、大型開発の工期/賃貸化、売却タイミング、為替。
🚀 成長: 賃貸CFの拡大×資産回転の継続、AuM拡大によるフィー収益、政策保有株縮減+自己株でのEPS押上げ。Torch Towerや海外旗艦の寄与も順次顕在化。
5. 総合評価
📊 総合評価: 良好
✅ 上期の増益と通期最高益計画、累進配当+自己株、政策株縮減で資本効率の逓増が見込める。賃貸の底堅さに下期の売却益が重なれば、計画達成の確度は高い。
🚨 一方で金利/建設コスト/海外サイクルの外部要因は引き続き注視。売却と再投資の実行精度が来期以降の評価分岐。
→ 三菱地所(8802)は、賃貸CFの強さを核に資産回転とAuM拡大を重ね、累進配当と自己株で“成長×効率×還元”を同時進行。下期の売却進捗と大型案件のリーシング成果が、バリュエーションの上振れ余地を左右する。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。