三菱商事(8058)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025年度2Q累計)
✨ 営業収益キャッシュフロー: 4,463億円(進捗率50%)
💰 連結純利益: 3,558億円(進捗率51%); セグメント純利益は金属資源416億円、地球環境エネルギー858億円、社会インフラ429億円、モビリティ387億円、食品341億円、SLC492億円、電力168億円、その他266億円
🏦 財務/還元: Net DER 0.39倍(上限目途0.6倍)、自己株取得上限1兆円は9月末時点で5,782億円執行、配当110円(累進配当の継続)
🧭 トーン: 前年の資産・事業リサイクル大型益の反動でYoY減益だが、事業ベースは計画線上。配当計上時期など季節性の影響を織り込みつつ進捗は良好。
2. 2026年3月期 通期見通し(据え置き)
📊 業績目標: 連結純利益7,000億円、営業収益CF9,000億円を維持
💸 株主還元方針: 「累進配当+機動的な自己株式取得」を継続(総還元性向は目標値を設けず、3か年平均で中計目標40%を上回る見立て)
🧱 投資と回収: 2Q累計で投資5,936億円、売却等2,513億円。レバレッジはNet DER上限0.6倍を目途に健全性を確保。
🪙 感応度/前提: 為替145.51円/US$、ブレント70$/bbl、銅9,736$/t等。円1円/US$で純利益±40億円、銅100$/tで±25億円。
3. セグメント別の着眼点(投資家視点)
🌍 地球環境エネルギー: LNGアジアパシフィックの配当時期で上期偏重、北米LNGは生産立ち上げでコスト先行。LNGカナダの初カーゴ出荷・系列増設進捗が中期のCF積み上げに寄与。
⛏️ 金属資源: 前年の原料炭売却益反動と市況軟化で大幅減益。銅は価格上昇と案件積み増し(米国権益取得、AAS一体操業最終合意)で底上げ。原料炭の操業安定化と数量回復計画(’27年度43–45Mt)を注視。
🏗️ 社会インフラ: 北米不動産の減損反動やエネルギーインフラの完工損益で回復。国内外のデータセンター/都市開発の拡大で安定収益化へ。
🚗 モビリティ: ASEANの需要軟化や米国関税影響で鈍化も、販売金融・中古車等のバリューチェーン強化、AI活用の営業効率で収益補完。
🥗 食品産業 / SLC: 前年の大型売却益反動で見かけ減益。今期はTH FOODS売却等を上期計上、ローソンの税効果取り崩しが下支え。三菱食品完全子会社化の効果は26年度以降の貢献拡大に繋がる想定。
⚡ 電力ソリューション: 国内の資産・事業リサイクル増で増益。欧州は冬季に利益偏重、米州のトレーディング拡大も寄与。再エネ・分散電源の持分容量積み上げが中期ドライバー。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスク: 原料炭・鉄鉱石の市況下落長期化、銅の操業・開発リスク、LNGの価格反映タイムラグ、為替/金利変動、米国関税・地政学要因、国内外不動産の価格調整。
🌱 成長要因: 銅×LNGの資源軸強化(AAS一体操業・米国権益取得、LNGカナダ拡張等)、データセンター/再エネのアセット拡大、小売・食品流通のデータ活用(需要予測×販促最適化)、自己株+累進配当による資本効率向上。
5. 総合評価
📊 総合評価: やや良好
✅ 計画線上の進捗と強固な還元フレーム(累進配当+機動的Buyback)、Net DER0.39倍で投資と還元の両立余地を確保。
🚨 一方、資源(原料炭)の反動・市況軟化の重石は残るため、銅/LNGの積み上げ速度と不動産・電力の回転/安定収益化のバランスが評価の焦点。
→ 三菱商事(8058)は、資源の反動減を非資源の磨き上げと資本政策で吸収しつつ、銅×LNG×社会インフラで中期CFを増強するシナリオ。通期据え置きは妥当で、上振れ余地は銅/LNGの実行とアセット回転の質に依存する。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。