M&A総研HD(9552)-2025年9月期決算
1. 概要
✨ 連結実績: 売上高166.0億円(+0.3%)・営業利益49.6億円(▲41.0%)・営業利益率29.9%(▲20.9pt)・当期純利益28.9億円(▲50.0%)。仲介の成約率回復が遅れ、投下増のコンサル/インキュベートが収益を圧迫。
📈 4Qの手応え: 4Q売上44.22億円(+21.9%)、成約59件・単価0.75億円で持ち直し。受託残は増勢継続で先行指標は堅調。
🧑💼 人員とKPI: アドバイザー390名(+21.9%)、コンサルタント136名(+306%)。効率化システムとAIマッチングで平均成約期間7.2カ月を維持。
💵 資本政策: 自己株式5,080,900株取得・5,211,458株(発行済8.79%)消却、期末配当5円(配当性向10%方針)。現預金1,017.4億円相当で手元資金は厚め。
📊 資本効率: ROE40.4%・ROA30.0%へ低下も依然高水準、還元と成長投資の両立を継続。
2. 2026年9月期(FY2026)通期見通し
🚀 ガイダンス: 売上221.8億円(+33.6%)・営業利益59.9億円(+20.7%)・営業利益率27.0%(▲2.9pt)・当期純利益35.3億円(+22.1%)。
🏗️ 事業別計画: 仲介売上180.0億円(+18.8%)・営業利益64.99億円(率36.1%)で生産性回復と大型案件の獲得に注力。コンサル売上38.0億円(+161.8%)も先行投資継続で赤字▲6.5億円想定。インキュベートは売上3.84億円・営業利益1.45億円へ黒字化計画。
📌 前提/KPI: アドバイザー数400–450名、1人当たり売上0.429–0.456億円、成約約300件・単価約0.60億円、成約期間~7カ月維持。
3. セグメント別動向(通期実績)
🤝 M&A仲介: 売上151.5億円(▲7.1%)・営業利益58.78億円(▲32.4%)。直販は教育/マネジメント強化で精度向上、金融/会計提携と海外の拡大で紹介案件の厚みを増す方針。4Qは大型案件寄与で単価が改善。
📚 コンサルティング: 売上14.51億円(+485%)・営業損失▲7.43億円。採用とブランディング投資が先行し赤字拡大も、稼働率>90%の水準を確認。DX/戦略/PMOなど案件レンジを拡大し、来期は規模の力で損益改善を狙う。
🌱 インキュベート: 売上0.04億円・営業損失▲1.30億円。撤退/見直しを経てポートフォリオ最適化、FY26は黒字転換を見込む。
4. リスクと成長要因
🚨 リスク: 成約率の回復遅れ、採用の質量と稼働のミスマッチ、コンサル急拡大に伴う固定費先行、規制/ガイドライン・コンプライアンス対応、金利/景気変動に伴うM&A需要の伸縮。
🌟 成長要因: 提携(金融・会計)と海外の開拓による案件源泉多様化、AI/自社開発SaaSでのリーンな営業プロセス、4Qの単価改善と受託残増加、自己株消却による1株価値押上げと配当方針(性向10%)の継続。
5. 総合評価
📊 総合評価: やや厳しい
✅ トップラインは横ばいでも4Qは回復の芽、受託残と提携拡大で来期増収の視界はある。
✅ 資本政策は機動的で1株価値を意識、手元資金も厚く投資余力は十分。
⚠️ 一方、今年度は利益大幅減・OPM急低下、来期もコンサル赤字前提でマージンは低下計画。仲介の生産性回復と案件執行力の実証が株価再評価の前提。
→ M&A総研HD(9552)は、仲介から「仲介×コンサル」への転換期にあり、短期の利益ボラティリティを受け入れつつ、提携拡大とAI起点の営業効率化で生産性回復を実現できるかが鍵。自己株消却と配当方針の継続により資本効率を意識した成長シナリオの妥当性が試される。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。