ライオン(4912)-2025年12月期2Q決算
1. 概要(2025/1–6 中間期)
✨ 連結: 売上1,994億円(+0.4%)、事業利益126億円(+30.8億円)、EBITDA214億円・マージン10.7%(+1.3pt)、親会社中間利益は一過性の譲渡益反動で微減。
🧩 収益改善のドライバー: 高付加価値化×価格適正化で+13億円、コストダウンで原材料高を吸収、競争費用を政策的に選択投下(販促の効率化・デジタルシフト)、SKU削減と在庫圧縮で物流コスト約6億円改善。
🏠 一般用消費財: わずかに減収(譲渡影響除き実質+0.8%)も大幅増益。ファブリックケアが利益貢献、NANOX one堅調、柔軟剤はテコ入れ継続。
🦷 オーラル: 高価格帯が伸長(クリニカPRO等)。国内は最高価格帯の新製品投入、下期は歯科向け「細菌叢コントロール」技術で先行展開。
🌏 海外: 東南・南アジアは増収増益(利益率改善)、北東アジアは韓国が弱く中国は高価格帯集中で2桁成長ブランドを育成。オフライン配荷拡大で中国の回復を加速。
2. 通期見通し・資本配分
📈 ガイダンス据え置き: 上期の体質改善を前提に、下期は高付加価値領域への投資を増強しつつトップライン回帰を狙う(原材料逆風は軽減、販管費は戦略的に増額)。
💵 株主還元: 年初方針を維持。財務健全性を保ちつつ、成長投資(オーラル・新技術)と還元のバランスを取る姿勢。
3. 事業トピック(投資家視点)
🦷 オーラルヘルスケア加速: 国内高価格帯の新製品と歯科ルート起点の新技術で価格帯ミックスを引き上げ、EBITDAマージンの構造改善を進行。海外はタイ・マレーシアでブランド投資を強化、中国はクリニカ/システマ/DENT.の配荷拡大(年末3,000店目標)で高価格帯シェアを伸長。
🧼 ホームケア再構築: NANOX one育成×柔軟剤リニューアルで「売上より利益」の設計を継続、販促の質と在庫規律でキャッシュ生産性を改善。
🧭 執行の変化: 粗利重視のKPI運用(価格・ミックス・製品別限界利益)とSKU/在庫の恒常的見直しで、**“費用削減ではなく選択投資”**のモードが定着。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスク: 中国・韓国の需要回復鈍化、原材料・為替、柔軟剤など競争の激しいカテゴリー、新技術の市場浸透速度。
🚀 成長要因: 高付加価値×価格ディシプリン、オフライン配荷拡大(中国)、東南・南アジアの利益ある成長、SKU/物流効率の構造効果、歯科起点の新製品群。
5. 総合評価
📊 総合評価: やや良好
✅ 価格・ミックス改善と選択投資でEBITDAマージン10%台を回復、海外の収益性改善も確認。
🚨 トップライン成長はなお課題で、中国の配荷拡大の実効性とホームケアの再成長速度がカギ。下期の投資増の効果検証が次の評価軸。
→ ライオン(4912)は、オーラルの高価格帯集中とSKU・物流の構造改革で“利益の質”を引き上げつつ、下期は選択投資でトップライン回帰を図る局面にある。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。