キオクシアホールディングス-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/7–9 2Q)
✨ 売上収益4,483億円(QoQ +31%)、Non-GAAP営業利益872億円(率19.4%)、Non-GAAP当期利益417億円(率9.3%)と、いずれもガイダンス上限超の着地。出荷量は30%台後半増(GBベース)、販売単価は米ドル建てで前期比1桁前半下落ながら、AIサーバ/データセンター向けの構成比上昇で売上総利益率32%へ改善。FCF+413億円、ネットD/E107%と財務も着実に改善。
🧠 需要構造はSSD & ストレージ55%、スマートデバイス35%、その他10%。データセンターはAIサーバ向けが牽引、PC向けも堅調。スマホは第8世代BiCS FLASH™への移行が進み、GBあたり出荷が増勢。
🏭 投資/供給は**設備投資915億円(補助金除く)**を実行し、北上工場 第2製造棟が9月稼働開始(26年前半に本格出荷)。第10世代BiCSへの先行投資も開始し、中期のコスト/性能競争力を確保。
2. 3Qガイダンスと市況見通し
📈 3Q見通しは売上5,000–5,500億円、Non-GAAP営業利益1,000–1,400億円、Non-GAAP当期利益610–890億円。全アプリで販売価格上昇を見込み、過去最高売上と利益拡大を計画。前提為替はUSD/JPY 151。
📊 NAND市況は当面タイトとの見立て。AIサーバ/推論向けSSDの急伸、NL-HDD不足を背景にQLC大容量SSDへの代替が加速。CY2025ビット成長は10%台半ば、CY2026は10%台後半と、需給は引き締まりが続く想定。
3. 事業トピック(投資家視点)
🧩 プロダクトミックスはデータセンター・エンタープライズ比率の上昇で収益性が改善。245TB QLC SSDの量産納入を開始し、Super High IOPS SSDも上市。CBA技術×第8世代BiCSを主力に、コスト競争力+高付加価値の両立を進める。
⚙️ 運営/財務は在庫回転の改善と規律あるCAPEXで7四半期連続FCF黒字を維持。優先株→社債置換・シニアローン借換などリファイナンスを実施し、資本構成の安定化を進捗。
🔭 技術ロードマップは第10世代BiCSに向けた装置投資を段階化。北上第2棟の本格出荷が始まる26年前半はAI/ストレージ需要の波と同期し、歩留・ラーニング効果の取り込み余地が大きい。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスクは価格/需給の変動、AI投資のサイクル、歩留・立上げの遅延、為替/金利と資金調達コスト、地政学/関税。高原価品の消化局面ではマージンのボラに要注意。
🚀 成長はAIサーバ向けの継続増勢、QLC大容量SSDの浸透、第8世代→第10世代BiCSのコスト/性能曲線、北上第2棟の通期寄与。価格上昇×ミックス改善が同時進行しやすい地合い。
5. 総合評価
📊 総合評価: 良好
✅ ガイダンス上限超の2Q、3Qは過去最高売上計画、FCF黒字継続×ネットD/E改善で“実力回復”を確認。AI/DC向け高付加価値SSDとBiCSロードマップが収益の質を押し上げる。
🚨 一方、需給のタイトさが緩む局面や新棟/新世代立上げの歩留は変動要因。価格局面のうちにBS強化と原価曲線の再低位化をどこまで進められるかが次の評価軸。
→ キオクシアは、AI需要ドリブンの価格/数量モメンタムとBiCS世代進化を武器に、ミックスの高度化と財務健全化を同時に進め、収益基盤の再強化によって株主価値の持続的な逓増を狙う。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。