花王(4452)-2025年12月期3Q決算
1. 概要(2025年1–9月 / 3Q累計)
✨ 売上高 1兆2,320億円(実質 +4.1%); 売上総利益率 39.1%(+0.5pts); 営業利益 1,149億円(率 9.3%、+0.8pts); 親会社当期利益 847億円; EPS 182.64円(+19.5%); ROIC 9.3%(+0.9pts)。
🧴 日本GC(トイレタリー)が牽引し、高付加価値製品の拡大×価値の価格転嫁で稼ぐ力が確実に改善。トイレタリー市場シェアは27か月連続で前年を上回る。
💄 化粧品は日本・中国の回復と固定費スリム化で営業利益+109億円と黒字拡大。注力6ブランドがASEAN・日本で伸長。
🧪 ケミカルは増収ながら、原料価格変動の影響で減益。GCは価格改定・ミックス改善・数量増の三拍子で増益。
📈 **3Q単体(7–9月)**は売上4,230億円(実質 +4.8%)、営業利益454億円(率10.7%)。化粧品の収益性改善と日本スキンケア・F&HCの堅調で着実に積み上げ。
2. 2025年通期見通し・資本効率
📊 通期計画は営業利益1,650億円・ROIC 10%・EVA 440億円を見込む。稼ぐ力(価格・ミックス・数量)で+160億円超の押し上げを狙い、原材料上昇は価格設定と原価低減で吸収。関税の直接影響は15億円未満にとどまる想定。
🧭 K27進捗は、利益率の年+1.0pt改善をターゲットに、日本の確かな収益基盤を軸に“量から質”へ転換。EPS・ROICの同時改善で資本効率を高める方針。
3. 事業トピック(投資家視点)
🧼 ファブリック&ホームケアは高付加価値化と価格改定で売上・利益を牽引、数量とシェアの伸長も確認。
🩸 サニタリーはメリーズの黒字継続・利益率改善、生理用品は伸長。
🧴 ヘルスビューティケアは日本スキンケアとハイプレミアムヘアケア、パーソナルヘルスが伸び、投資継続下でもOP率10%台を確保。
💄 化粧品はSENSAI/Curél/KANEBO/KATE等の強化と固定費削減で収益性が大幅改善。中国の再スタートやECチャネル最適化が奏功。
🧪 ケミカルは自動車関連の需要減や原料変動で減益も、増収は堅持。価格転嫁の浸透とポートフォリオ是正で来期の回復余地。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスクは原材料高止まり、アジアF&HCの競争激化、為替/関税、欧米のチャネル構造変化。
🚀 成長要因は高付加価値×価格ディシプリンの継続、化粧品の黒字拡大、ビオレUV等スキンプロテクションの北米展開、DXと構造改革による固定費抑制。
5. 総合評価
📊 総合評価: 良好
✅ 日本GCの強さ×価格・ミックス改善で収益性が改善し、化粧品の大幅増益が下支え。通期ガイダンス(OP1,650億円・ROIC10%)は達成確度が高い。
🚨 一方、原材料高とアジアF&HCの競争、ケミカルの原料変動がボラ要因。高付加価値の深掘りと海外GCの課題領域改革の実行速度が来期評価の分岐。
→ 花王(4452)は、日本の堅固な収益基盤をアンカーに“質の成長”を進め、化粧品の黒字拡大と価格ディシプリンでROICとEPSを押し上げる局面。構造改革の継続と海外GCの磨き込みが再評価の鍵となる。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。