JFEホールディングス(5411)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/4–9 上期)
✨ 連結は売上収益2兆2,326億円、事業利益457億円(棚卸差等除き937億円)、セグメント利益341億円(同821億円)、当期利益266億円と減益着地。市況悪化と円高局面が響く一方、為替損益と費用管理で想定線をやや上回る推移。
🏭 鉄鋼はセグメント▲53億円(同**+427億円**)で苦戦。数量は粘るが、アジアの価格下落と原料価格の販価反映時期差でスプレッド悪化。操業改善・費用抑制は進捗。
🛠 エンジニアリングは売上2,870億円・セグメント126億円と堅調。LNG・廃棄物で受注積み上がり、収益性も改善。
📦 商社は売上6,475億円・セグメント219億円。国内建設の弱さと輸出取引減、市況下落で縮小。
📉 市場環境は中国の過剰生産・輸出でアジア市況が低迷。国内は建築低調・人手制約、海外は関税・通商施策の不確実性が続く。
2. 通期見通し・資本政策(据え置き)
📈 2025年度(2026/3期)通期は売上4.6兆円、事業利益1,400億円(棚卸差等除き1,900億円)、セグメント利益1,100億円(同1,600億円)、当期利益750億円を見込む。
🔥 粗鋼は単独2,150万tへ**+50万t上方(前回2,100)。関税影響の数量減想定を一部縮小。為替前提148円/$(下期150)。
💸 配当は年間80円**(中間40円)を維持。配当性向30%程度・80円下限を中計方針として継続。
🏦 財務はDebt/EBITDA 4.6倍見込み。投資・投融資4,100億円と配当570億円をこなしつつ、資産圧縮250億円でテコ入れ。
3. 事業別トピック(投資家視点)
🧲 鉄鋼は数量維持×コスト恒常化で粘りつつ、スプレッド悪化が重石。棚卸差・為替要因の振れが大きいが、下期は棚卸差の改善・操業改善で利益反転(上期▲53億→下期+453億計画)。高付加価値比率は24年度48%→25年度KPI54%→27年度60%の道筋。電磁鋼板(NO/GO)・超ハイテン・洋上風力厚板・エネルギー用鋼管への置換で限界利益単価を引き上げ。
🛢 エンジニアリングはWaste to Resource×LNGが伸長。笠岡モノパイル製作所は25年度本格製造→26年度フル生産へ。LNG関連累計受注1,200億円(25–27年度)を目指し、CCS/新エネルギーへ裾野拡大。
🏷 商社は450億円へ下方(前回500)。国内建設の弱含みと輸出鈍化、市況下落が要因。期中の在庫・回転管理で下振れ抑制。
4. 事業環境・リスク/カタリスト
⚠️ リスクは中国の過剰輸出継続、アジア市況の停滞、通商・関税の変動、建設需要の低迷、原料価格と販価反映のタイムラグ、為替。
🚀 カタリストは下期の棚卸差縮小と操業改善の顕在化、高付加価値比率の前倒し達成、LNG・廃棄物・洋上風力の大型受注、GXスチール「JGreeX®」の採用拡大と制度面の追い風(ガイドライン運用開始)。
5. 総合評価
📊 総合評価: 中立
✅ 粗鋼計画の上方・エンジ好調・下期の棚卸差改善で通期据え置きの実現可能性は維持。高付加価値化のKPIが示す方向性は妥当。
🚨 一方でスプレッド環境はなお厳しく、商社の市況感応度と通商不確実性が上値抑制。下期の利益反転達成と26年度に向けた高付加価値比率の上振れがリレーター。
→ JFEホールディングス(5411)は、スプレッド逆風の中でも数量維持と高付加価値化で限界利益の底上げを図り、エンジの受注拡大とGXスチールの市場創出で中計KPIの確度を高める局面にある。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。