日立製作所(6501)-2026年3月期2Q決算

1. 概要

売上収益: 2兆5,290億円(前年比+8%、為替除き+8%)で増収継続、Adj. EBITAは3,242億円、マージン12.8%へ改善(+2.6pts)。親会社帰属四半期利益は2,806億円。コアFCFは2,001億円で前年から大幅増。
ドライバー: エナジー(送配電網更新・再エネ接続需要)が牽引し、DSSの国内DX/モダナイ案件も好調。CIは横ばいながらインダストリアルAIや計測分析が採算改善。モビリティは信号システム中心に堅調。
🧠 Lumada: 事業売上は前年同期比+32%、連結比率はQ2で42%まで上昇、LumadaのAdj. EBITA率は16%と高水準。

2. 2026年3月期(FY2025)通期見通し

📊 連結見通し: 売上収益10兆3,000億円(+5%)・Adj. EBITA1兆2,100億円(率11.7%、+0.6pts)・当期利益7,500億円・ROIC11.5%。前回比で売上+2,000億円、Adj. EBITA+1,000億円、当期利益+400億円、コアFCF+1,600億円へ上方修正。
💱 為替前提/感応度: 下期はUSD/JPY 145、EUR/JPY 170を想定。1円の円安で売上は米ドル+70億円/ユーロ+40億円、Adj. EBITAは米ドル+8億円/ユーロ+4億円の感応。
🛃 米国関税影響: 通期の想定リスクはAdj. EBITA▲約200億円・当期利益▲約200億円と見積もる一方、価格転嫁・サプライ最適化で吸収を継続。

3. セグメント別動向(2Q実績/通期方針)

🖥️ デジタルシステム&サービス(DSS): Q2売上7,088億円(+4%)、Adj. EBITA1,099億円(率15.5%)。国内は金融・公共・交通・防衛でDX/モダナイが伸長し、過去最高の売上・利益を更新。海外ストレージは選別とコスト最適化で減収増益へ。通期は売上若干下方も利益計画は維持。
エナジー: Q2売上7,508億円(+27%)、Adj. EBITA942億円(率12.6%)。パワーグリッドは受注残の質改善と生産性向上で高成長・高採算へ。通期は売上+1,300億円・Adj. EBITA+220億円を上方修正。
🚆 モビリティ: Q2売上3,002億円(+6%)、Adj. EBITA190億円(関連費用除き226億円、率7.5%)。タレス信号事業の寄与と為替で増収、通期は売上+600億円・Adj. EBITA+50億円を上方修正。
🏭 コネクティブインダストリーズ(CI): Q2売上8,054億円(±0%)、Adj. EBITA999億円(率12.4%)。中国の新設昇降機減速を、半導体製造装置・インダストリアルAIの好調と原価低減で補い、通期は売上+100億円・利益+30億円を上方修正。

4. リスクと成長要因

🚨 主要リスク: 米国相互関税による直接・間接影響、欧米顧客の投資抑制、中国不動産/昇降機需要の弱含み、為替・原材料価格・長納期プロジェクトの採算管理。
🌍 成長要因: 北米・欧州の送配電網更新/HVDC、信号システム・保守の安定収益、DSSのAIエージェント活用によるSI生産性向上とマネージド/セキュリティの拡大、インダストリアルAIと計測分析の高付加価値化。NVIDIA/Google/OpenAIとの連携によるPhysical AI×Lumada 3.0のユースケース拡大。

5. 総合評価

📊 総合評価: 良好
Q2は売上・利益・CFが揃い踏み、エナジー主導でAdj. EBITA率12.8%を達成。通期も上方修正で確度が上がり、Lumada比率の上昇が持続的な収益性改善を裏付ける
米関税や中国需要減の逆風はあるものの、価格転嫁・案件精査・サプライ最適化で吸収余地が大きく、受注残の質と地域分散でディフェンシブ性も高い
🚨 一方でストレージの競争環境と大型PJの執行は継続モニタリングが必要で、上振れの鍵はパワーグリッドの売上転換速度とモビリティのシナジー顕在化

→ 日立製作所(6501)は、パワーグリッドと信号システムを核にLumada 3.0でAI実装を加速。構造的な高採算ポートフォリオへの移行が進み、ROIC/FCFの質的改善と株主還元の持続可能性が高まる。

投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。