電通グループ(4324)-2025年12月期2Q決算分析
1. 概要
✨ 上期(1–6月)の売上総利益は5,620億円(前年比▲2.1%、為替除き▲0.6%)、オーガニック成長率は▲0.2%。調整後営業利益は675億円(+7.2%)で、オペレーティング・マージンは12.0%(+1.0pt)と改善。
🧾 一過性影響としてのれん減損860億円(米州689億円、EMEA171億円)を計上し、営業損失▲365億円/当期損失▲736億円に転化。
🏦 キャッシュは営業CF37億円へ大幅改善(前年▲716億円)、ネットデット/調整後EBITDAは0.98xと財務は健全水準。
🇯🇵 日本は上期で過去最高の売上総利益・調整後営業利益を更新し、四半期オーガニック成長+5%台を3四半期連続で維持。
2. 2025年12月期 通期見通し
📊 ガイダンス修正:オーガニック成長率約0%(前:+1%)、売上総利益1兆1,801億円(前:1兆2,150億円)、調整後営業利益1,416億円(前:1,460億円)。OM約12%は維持。調整後当期利益630億円(前:710億円)へ下方修正。
💸 株主還元:中間配当は見送り、期末配当は未定(事業利益・資産売却の進捗を踏まえ決定)。
🧰 構造改革と投資:年5,200億円のコスト削減施策を特定(国際事業の人員約8%=約3,400人削減を含む)。一時費用は今期330億円計上見込みの一部を来期以降へ繰延も、効果発現は計画通り。3年間で450億円の内部投資(25年は約170億円)でプロダクト・AI・デリバリーを強化。
3. 地域別動向(H1実績)
🌸 日本:売上総利益2,367億円、オーガニック+5.1%。インターネット広告が6四半期連続二桁成長、BXも二桁成長で牽引。OM24.6%へ上昇。
🗽 米州:1,538億円、オーガニック▲3.4%。CXM軟調・クリエイティブ縮小も、販管費抑制でOM+150bps改善。ガイダンスは下方修正。
🌍 EMEA:1,213億円、オーガニック▲2.4%。英国・北欧のCXMが重し、南欧(西・ポーランド)が下支え。
🌏 APAC(日本除く):472億円、オーガニック▲8.9%。中国・豪が減速、台湾・タイは堅調も上期は調整後営業損失。
4. ビジネス・アップデート
🧠 **AI/データ×IGS(Integrated Growth Solutions)**への集中投資を加速し、dentsu.Connect等のプラットフォームとAI人材・デリバリー体制を拡充。
🎮 スポーツ&エンタメのグローバル展開を強化(アニメソリューションの北米・中国・東南アジア拡大、MENAでのスポーツ・アナリティクス展開)。国際アワード獲得などクリエイティブ競争力も維持。
🧱 資本政策は、健全性の確保を優先(減損計上後の単体利益剰余金減少を踏まえた対応)。中計は必要に応じ見直しつつ、**2027年OM16–17%**のターゲットを堅持。
5. リスクと成長要因
⚠️ リスク:海外3地域のCXM弱含み継続、マクロ不透明と広告需要のボラ、減損に伴う成長率見直し、構造改革・人員再編の実行リスク、為替。
🌟 成長要因:日本のネット広告・BXの強勢、構造改革による固定費削減とOMレバレッジ、AI/データ投資の付加価値化、S&E/アニメ等のIP×メディア拡張。
6. 総合評価
📊 総合評価: やや厳しい
✅ 日本の強さとコスト改革でOM12%を維持し、基礎収益力は踏ん張る構図。
🚨 一方で海外の弱含み・大型減損・配当見送りは株主還元と成長期待の修正要因。構造改革のスピードと国際事業の戦略的再編が今後のアップサイド鍵。
→ 電通グループ(4324)は、日本の成長とコスト改革で収益性を下支えしつつ、国際事業の抜本見直しとAI/データ投資の実装で、2027年の高水準OM回復を目指す局面にある。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。