ダイキン工業(6367)-2026年3月期2Q決算
1. 概要(2025/4–9 上期)
✨ 連結は売上2兆4,788億円、営業利益2,466億円(率9.9%)、経常2,419億円、親会社中間利益1,609億円。為替影響は売上▲715億円・OP▲135億円ながら、為替を除く実質で売上102%・OP105%と過去最高益を更新。
🏭 セグメントは空調が売上2兆3,069億円・OP2,323億円(率10.1%)で実質増益、化学は売上1,268億円・OP137億円(率10.8%)で半導体・自動車の在庫調整影響による減益、その他は小幅黒字。
🧱 利益要因は売価維持・引き上げとコストダウン(+930億円相当)が原材料・固定費増(▲1,075億円相当)を概ね相殺。米国関税直接影響は約180億円だが価格転嫁とコストで吸収。
💰 財務は自己資本比率55.5%、手元資金8,763億円、有利子負債1兆484億円と余力十分。棚卸は日数伸長も下期で適正化を継続。
2. 2026年3月期 通期見通し・資本政策
📈 通期計画は売上4兆8,400億円(+2%)・営業利益4,350億円(+8%)・経常4,150億円(+13%)・純利益2,800億円(+6%)を維持。下期OP1,884億円・率8.0%を見込む。前提為替はUS$=146円、€=167円、CNY=20.2円。為替1円のOP感応度はUS$約23億円・€約6億円。
💸 株主還元は**年間配当330円(中間165円)**を予定。DOE目安3%を維持しつつ、配当性向の一段の引上げも志向。自己株は明記なしだが総還元の質を意識。
🛃 関税の通期見込みは直接影響約420億円を織り込み、価格・ミックス・コストで吸収する前提。間接影響(景気減速)は複数シナリオで機動対応。
3. 事業/地域の着眼点(投資家視点)
🇺🇸 米州(空調)は住宅用ユニタリーでR32機・「Fit」が浸透し大幅シェア挽回。アプライド(データセンター向け)が力強く、ソリューション/サービスの収益化が加速。ダクトレスは需要調整で弱含み。
🇯🇵 日本は『うるさらX』『FIVE STAR ZEAS』『VRV 7』等の高付加価値で売価×シェアを両立。猛暑・インバウンド回復が追い風で、業務用の提案営業が奏功。
🇨🇳 中国は不動産低迷下でも住宅用ソリューション(換気/床暖/センサー×IoT)に資源集中し高収益を維持。業務用は省エネ提案に軸足、アプライドは保守・メンテ強化で底固め。
🌍 欧州/MEAは住宅・業務用が堅調、H/P暖房は回復力に欠けるがR290前倒し投入・補助金申請支援で巻き返し。データセンター向けチラー・CO₂冷媒ショーケースで案件を積み上げ。
🧪 化学はフルオロカーボン/フッ素樹脂・ゴムでデータセンター配線・半導体装置向けの高機能材を深掘り、EV向け正極バインダー/シール材の用途拡大で回復待ち。
4. リスクと成長要因
⚠️ リスクは米国関税の長期化/拡大、景気減速による設備投資抑制、為替反転、原材料・物流、在庫日数の上振れ。アジアの需要低迷とH/P暖房の回復鈍化も監視。
🚀 成長要因は販売・営業力強化、差別化新商品の前倒し、ベースモデルのコストダウンと材料置換、グローバルのサービス/ソリューション収益化、データセンター/省エネ需要の取り込み。6つの横断テーマで収益改善の手綱を締める。
5. 総合評価
📊 総合評価: 良好
✅ 為替逆風と関税直撃を価格×コストで中和し、実質で増収増益・過去最高益を確保。米州ユニタリーのシェア回復×アプライド/DC需要×日本の高付加価値が牽引し、通期据え置きの達成確度は高い。
🚨 一方、化学の回復遅れとアジア需要の鈍さ、在庫日数の高さは短期のボラ要因。ソリューション収益と在庫適正化の実行速度が上振れ/下振れの分岐点。
→ ダイキン工業(6367)は、米州ユニタリーの巻き返しとデータセンター/高付加価値の厚みで“稼ぐ力”を再強化。関税・景気逆風下でも通期目標を射程に、価格規律とコストダウン、サービス収益化で中期の利益質改善を狙う。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。