キヤノン(7751)-2025年3月期3Q決算分析
1. 概要
✨ 売上高: 1兆1,043億円(前年比 +2.3%); 3Q累計 3兆3,029億円(+2.1%)と過去最高を更新
💼 営業利益: 880億円(▲10.3%); 3Q累計 3,024億円(+1.9%)—関税影響で単四半期は減益も累計は増益維持
💸 親会社純利益: 637億円(▲7.4%); 累計 2,196億円(+0.5%)
📉 粗利率/営業利益率: 46.4% / 8.0%(前年 47.8% / 9.1%)—関税・価格ミックス悪化が逆風
📷 事業トピック: プリンティング減収も、カメラ・ネットワークカメラが伸長、インダストリアルは+21.7%と高成長
2. 2025年3月期 通期見通し
📊 売上高: 4兆6,160億円(+2.4%)
💰 営業利益: 4,510億円(+1.4%)※前回比▲90億円(米国追加関税・市況悪化を織り込み)
🏦 親会社純利益: 3,255億円(+0.1%)※前回比▲45億円
🚀 4Q目標: 四半期売上1.3兆円超、営業利益率11%台を計画—年末商戦・確度高い装置売上の積み上げ
💱 為替感応度(4Q): USD±1円で売上±35億/営業±10億、EUR±1円で売上±19億/営業±10億
💵 株主還元: 年間配当160円(+5円)へ増配、自社株買い3,000億円を実施済み
3. セグメント別動向
🖨️ プリンティング: 3Q売上6,040億円(▲1.1%)・営業利益522億円(▲14.0%); 通期売上2兆4,951億円(▲1.1%)・営業利益2,762億円(マージン11.1%)。オフィス複合機は台数横ばい計画、プロシューマーは台数調整が続くが、ノンハード収益性は底堅い。
🩺 メディカル: 3Q売上1,329億円(+0.4%)・営業利益64億円(+36.4%); 通期売上5,809億円(+2.1%)・営業利益313億円(5.4%)。構造改革効果で採算改善。
📸 イメージング: 3Q売上2,536億円(+5.9%)・営業利益381億円(▲12.6%); 通期売上1兆0497億円(+12.0%)・営業利益1,634億円(15.6%)。カメラ+9%・ネットワークカメラ+16.8%で牽引、数量増に対し価格/ミックスと販促で利益確保。
🔧 インダストリアル: 3Q売上854億円(+21.7%)・営業利益139億円(ほぼ横ばい); 通期売上3,659億円(+4.0%)・営業利益636億円(17.4%)。光学・産業機器ともに2桁伸長、露光装置は年間241台計画。
4. 財務・CF・資本効率
💧 営業CF: 5,240億円見込み、FCF 2,690億円—成長投資(設備投資2,500億円)と還元を両立
📦 在庫: 9月末9,138億円・在庫日数74日。年末に向け商戦在庫は積む一方、仕掛は減少。2025年末に60日以下を目標。
📈 ROE: 9.8%見通し(WACC 5–6%)。売上成長×構造改革で早期に10%超を目指す。
5. リスクと注目ポイント
⚠️ 逆風: 米国追加関税・地政学リスクで投資の先送り、粗利率圧迫。プリンティングの数量調整/価格競争も注視。
🌱 成長ドライバ: ネットワークカメラの高成長継続、イメージングの高付加価値レンジ拡大、インダストリアルの装置売上計画の確度。販売構造見直し・メディカル改革の利益寄与が進む。
6. 総合評価
📊 総合評価: やや良好
✅ 3Q単体は関税で減益も、累計は増収増益・通期も増益計画を堅持。
✅ イメージング/ネットワークカメラとインダストリアルの成長でプリンティングの鈍化をカバー。
🚨 関税・価格ミックス・在庫水準のマネジメントが4Q達成のカギ。還元強化(配当160円・自社株買い)で下支え。
→ キヤノン(7751)は、関税逆風下でも成長事業(ネットワークカメラ/インダストリアル)を軸に収益性改善を継続し、通期増益・ROE9.8%達成を目指す。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。